朝9時、あざみ野駅で関東アビサポの
くろっぷ家の男衆と待ち合わせ。
くろっぷ家の長男、嘉斗(よかと。通称よかちょ。3歳)は、アビサポ一家の中で英才教育を受け、
「アビスパの試合を見に行く」という事だけでテンションがMAXになるように育っている。
もはやパブロフの犬状態。
この日も例外ではなく、チャイルドシートが壊れんばかりのテンションの高さ。
静かにしてくれませんかねw
しかも彼、てっきりトップの試合を見に行くものだと思っているらしく、
「ジョーゴ!」とか「マリヤン!」とか叫ぶので、
その都度「今日はユースだから城後もマリヤンもおらんぜ」と忠告し続ける。
ここでひとつ奇跡。
道中の関越道で目の前を走る熊本ナンバーの車が、
宮城総合での清水戦に向かう関東熊本サポの車だった。
SAでお互いの健闘を誓い合い、それぞれの競技場へと向かう。
さらに関越道ではベルマーレのマスコットが描かれたバスを見かけたが、
こちらはベルマーレのスポンサー(多分)が走らせてるバスで、選手が乗ってるってワケではなかった。
さてスタジアム到着。
過去2試合とは場所が変わり、今回は前橋総合運動公園陸上競技・サッカー場。
入り口には本大会のこれまでの戦跡が掲載されていた。
2位以内に入れば決勝トーナメントに進めるからいいんだけど、
もし3位になろうもんなら、この表を穴が開くほどまじまじ見る羽目になる。
6グループの3位の中から上位4チームが決勝トーナメントに行く権利を得られるからだ。
ピッチ脇では選手がウォーミングアップ中。
アビスパのテントの真後ろに我々も陣取る。
「私、今日のためにボンボン作ってきたんです!」
と言うは初日以来の参戦のあゆみちゃん。
」
太鼓が使えないこの競技場で、どう選手を後押しできるか考えたんだろう。
抜かりない。サポーターの素質、あり。
よかちょは相変わらず「じょーご!」「まりやん!」とか言ってるが、
目の前の試合への気合は十分。
試合前、コーチ陣とハイタッチする選手たち。
勝てば2位以上確定。引き分け以下は3位以下。
相手は柏レイソルU-18。本大会の前回覇者。
しかも2日目の試合で6得点を決めた強豪。
戦場へと向かう選手たち。
勝つしか、ない。
■Cグループ第3日 アビスパ福岡U-18 vs 柏レイソルU-18
前半は柏のペース。
我々と同様、絶対に負けられない柏は前半からがんがんゴールを狙ってくるが
福岡の必死の守備がそれを許さない。危ないシーンもあったがオフサイドに助けられたり。
福岡も負けていない。相手ボールを拾ってから速攻。しかし、シュートまでいけない。
結局、公式記録では福岡の前半のシュートはゼロ。一方の柏は4。
ゴールを割られず前半を0−0で終えたのは評価できるだろう。
今日はホーム扱いなので、ユニフォームもネイビー。
天気もいいのですぐに乾くかも。
後半。
53分、ボールを拾った佐々木亜門が山口晃大へとボールを繋ぎ、それを待ち構えていた光永祐也へと渡す。
受けた光永はドリブルで駆け上がり、利き足の左足でゴールにズドン!
この日、この空間に居る誰もが欲しかった先制点を取ったのは、福岡だ!
トラックでそれを見ていた控えの選手たち(坂田、竜治、モガ、大嘉、蘭次郎、一樹、太進)が
一斉に光永のもとに駆け寄る。
歓喜の選手たちの写真があればよかったんだけど、
あいにくスタンドで応援していた僕らも、もうお祭り状態。
「オー!光永 オーオーオー!」
初日から見ていたが、光永にボールが渡ると本当にワクワクする。
U-18代表候補に選ばれる所以は、駆け上がりのスピードと落ち着き、そしてシュートの精度にあるのでは。
光永の得点以降は攻守が目まぐるしく入れ替わる。1点を先制された柏は猛攻に出る。
しかし福岡も必死の守備。さらに守りだけでなく、2点目を取りに行く姿勢をとる。
攻守が変わるたび、両チームの選手たちはピッチを端から端まで走り続ける。
福岡にとって危ないシーンは多々あった。
しかし川島が好セーブを見せ、他の選手がポジション関係なく、みんなで守る。
アディショナルタイムは、3分だった気がする。ずっと柏の攻撃だった気がする。
はよ終われ、はよ終われ。そう思いながら必死で応援する。
そして…、
アビスパ福岡、去年の覇者柏レイソルを1−0で下す!!
結果ここはレベスタか?ってくらい、大歓声が聞こえた気がする。
倒れる柏の選手、抱き合う福岡の選手。鳴り止まぬ拍手。
クラブ史上初めてのベスト16進出が、この瞬間決まったのだ。
試合後にハイタッチする選手たちとコーチたち。
宮原コーチが選手たちに対して「ほら、スタンドのサポーターにも挨拶!」と言うと、
選手が僕らの目の前まで来てくれた。
「気をつけ、礼!」
パチパチパチ!
「ようやった!ようやった!みんなで1、2、3、アビスパやろう!」
僕がそう言うと、選手は一瞬戸惑いのような恥じらいのような顔を見せたが、
「「「1!2!3!アビスパーーー!」」」
やってくれた。
満面の笑み。みんな満面の笑み。
サポーターの勝手な考えかもしれないが、この瞬間、
選手、コーチ、保護者、サポーター、
みんながひとつになれた気がした。
「アビスパ福岡!アビスパ福岡!」
「みっつっなが!みっつっなが!」
太鼓代わりに叩いたペットボトルはベコベコ。
35℃近い炎天下の下、腕も真っ黒に焼けていた。
素敵な素敵な、勝利をありがとう。
川島、三村、翔也、ミツ、牛之濱、晃大、亜門、快生、恭範、野中、瑞基、おめでとう。
キヨさん、ありがとう。
〜〜〜
この翌日に行われたラウンド16で、アビスパは京都に2−4で負けた。
しかし、14回目の出場にして初めて勝ち取った16強は、誇りに思っていい。
この大会の後、町田蘭次郎はトップチームの練習に呼ばれた。
夏の群馬で巻き起こった福岡ユース旋風は、きっとトップチームまで届くはず。
この中から一人でも多くの選手が、レベスタで走り回ることを夢見てやまない。